remember


あの戦いからどれぐらい経っただろうか?

 無事に現代に帰ってきて、俺たちは大学生になった。

 あいつはあの時代に行った影響だろうか平安時代に興味を持ち歴史関係の専門をとった。

俺は特に希望はなかったが就職という気分ではなかったから、取り敢えず理数系を専門にとった。

 今でもふと思い出す。あの時代の仲間たちのこと、あの戦いのこと。

 あの戦いは俺にとってなんだったのだろう?

 八葉の仲間達との出会い、鬼との戦い。

 一匹狼のように仲間を作る事をしなかった俺にとって、初めて出会った仲間。

そして、同じ青龍として戦った親友と呼べる存在。

 そして、あいつへの気持ちに気付く事ができた。

俺にとって何者にも耐え難い存在。

自分にとってそんな存在が現れるとは思わなかった。

それまでは蘭のことで精一杯だった俺に、あいつは安らぎを与えてくれた。

俺の為に涙を流してくれたり、蘭の事を心配してくれたり、いつの間にかあいつは、

俺にとって蘭とは違う意味で大切な存在になった。

 俺は大学生になったのと同時に家を出て一人暮らしを始めた。

生活費を稼ぐためのバイトも始めた。

 今、俺の横には安らかに寝息をたてるあいつがいる。

久しぶりのデートで、はしゃぎ過ぎたのか、俺の部屋へ来ると暫らくして寝入ってしまった。

 今日は、あいつが晩飯を作るからと、近所のスーパーによって材料を買い込んできたのだが、

晩飯はもう暫らくお預けのようだ。

でも、こうしてあいつの寝顔を見ながら過ごすのもいいかと思った。

 あの時代での事は決して忘れない。あの時代へ行って俺は変われたのだから。

二度と会う事は出来ないが、大事な仲間達との出会い。

そして、自分の命よりも大切な人にめぐり逢い、こうして今幸せを感じていられる。

 起こさないようにあいつの頭をなで、安らかな寝顔を見ながら、

あの時代でも言った言葉を、俺はもう一度心の中で言った。

(あかね、おまえは俺が守ってやる。どんなことからも)

 そろそろ腹が減ってきたが、もう少しあいつの寝顔を見ていよう。

そうすることで俺は幸せを感じていられるから。

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この話は、以前「MapleGanache」に掲載させていただいていました。
ですが、少し前のことなのでタイトルをつけているデータを無くしてしまい、
本文のみのデータしか残っていませんでしたので、タイトルを変更しています。
この話は、「プロポーズ」の後に出来た作品です。
「転寝をしているあかねを優しく見つめる天真」の絵がうかんできて出来上がった話です.。
私の想像の中の天真君は、あかねちゃんに甘いようです。
読んだ感想など戴けたら嬉しいです。
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