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Small happiness
僕が二階に上がると、奥さんがソファの上で僕の作った曲を聞きながら微睡んでいた。
僕はそっと近づいて奥さんの顔を見つめた。幸せそうな表情に僕も幸せな気分になる。
彼女が冷えないように僕の上着を掛けようとすると彼女が目を覚ました。
「ごめん、起こしたね。」
「大丈夫よ」
僕は、起き上がる彼女を支えながら彼女の隣に座り、彼女の背中を僕の胸にもたせかけ、後ろから彼女の少し膨らんだお腹の上にそっと手を添えた。
「体調は大丈夫?」
彼女の顔を後ろから覗き込みながら聞いた。
「大丈夫よ。この曲を聴いてるとチビもおとなしくしてくれてるの。やっぱりパパが作った曲だって解るのかしら。」
そう言って、お腹の上に添えている僕の手に、そっと自分の手を添えた。
そう彼女のお腹の中には新しい命が宿っている。
僕が愛する人と巡り会い、子供まで授かることになるとは思ってなかった。
人を愛することを怖がっていた僕が、彼女に出会い彼女を愛し彼女に愛され今の幸せを手に入れることが出来た。
「君がいつか言ってくれたように、僕にとって大切な存在が出来た、それも二人もだ。君にもう一度出会うまでは、大切な人が出来るなんて正直思ってなかった。君と生まれてくる子供は僕にとっての奇跡だ。」
そして僕は心の中で、もう一つの奇跡が叶うことを願った。
「パパ。」
僕は声の方に振り向いた。
花を摘んできたのか、大切そうにもってこっちに向かって走ってきた。
「どうしたんだいその花?」
彼女の手の中には、色とりどりの花が揺れていた。
「ママにあげようと思って」
そう言って、僕の前に花を持ち上げて見せてきた。そうしてお墓の前に花を供えて彼女なりの母親との会話を始めてようだった。
目を閉じて心の中で話しかけてごらんと教えてから、母親に話しかけている時は目を閉じて黙っている。
イーシュン。
君の言ったと通りだったよ。
この子が今の僕の生きる希望だ。この子の笑顔にどれだけ救われているか、
君がいなくなってどうしたらいいのか判らなくなってしまったが、この子のおかげで頑張れているよ。
君に似て心の優しい、何事にも一生懸命な子だよ。しっかりしていて僕が仕事明けでだらしなくしていると怒られてしまうよ。
君が育てていたラベンダーを大切に育てているよ。君からのプレゼントだと言って嬉しそうにお水をあげたりしているよ。
また君に出会える時まで、こっちで僕はこの子と一緒に頑張るよ。
君に怒られないように、頑張るからしっかり見ていてくれ。
台湾ドラマ「ラベンダー」の二次創作を書いてみました。
原作では、子供は生まれてこなかったのですが、あまりに可哀想だったので、
ふとこの話を思いついたので書いてしまいました。
自分的には書き足したい気持ちがあるので、
修正バージョンをアップする可能性大です。(いつかは分かりませんが・・・)
原作のイメージを壊してませんように・・・。